「必要なところへ迅速な活動を」多様なファンドレイジングで実現へ

認定NPO法人アイキャン

都道府県 :愛知県
活動分野 :国際協力
財政規模 :約3億5000万円 (2014年度)
認定/仮認定取得 :2009年9月
団体ホームページ :http://www.ican.or.jp/
インタビューご対応:日本事務局海外事業部 吉田 文さん

フィリピンと国内で活動を展開

創設者がスタディツアーでフィリピンを訪れたことをきっかけに、現地の子どもたちの状況を解決したいという想いから、1994年に設立されました。(当時の名称は、アジア日本相互交流センター・ICAN)

現在は、柱としてふたつの事業を運営しています。ひとつ目は、「危機的状況にある子どもたち」のプログラムです。フィリピンで路上生活をしている子どもたちや、災害被災地などの子どもたち、そして外国にルーツを持つ在日本の子どもたちへの支援活動を行っています。主にこのプログラムに寄付金を充てています。

ふたつ目は、日本国内で、自分たちができることは何かを考え、実行する「『できること(ICAN)』を増やす」プログラムです。このプログラムでは、語学学習教室、フェアトレード販売、スタディツアーなどを実施しており、ファンドレイジングの一環として、資金獲得も目的にしています。

 

現在の収入は、寄付金よりも助成金の方が割合は多くなっています。

ただ、想定しない災害などが起きた場合、それらの助成金を充てることはできませんので必要なところへ迅速な活動を行うためには、寄付をはじめとした自己資金が非常に重要です。現地のニーズに合った迅速な対応を行うためにも、自己財源の寄付や事業収入を高めていきたいと考えています。

 

自己資金アップを計画、認定も取得し10年で10倍に

団体設立から10年以上たった2007年頃より、本格的に自己資金を高めるための活動を開始しました。これは団体が財政難に陥ったことをきっかけに、現事務局長が、ファンドレイジングの外部研修に参加したことからスタートしました。

それまでは、日本事務局の有給職員も1人ないしは2人程度でした。その後、事業規模を拡大し、JICA等からの事業受託や寄付集めによって、財政規模はおよそ10倍に成長しています。

認定は事業規模の拡大と同じ頃の2009年に取得しました。やはり、寄付収入を大きくしたいということが認定取得の大きな理由でした。

 

個人・法人からの寄付に、みなし寄付金も活用

認定取得後、実際に個人の寄付者から反応をいただくことがあります。特に確定申告シーズンは問合せが増えます。2014年には2562名の方にご寄付いただきました。高額所得者の方など、毎年控除限度額に合わせて寄付金額を変動される方もいらっしゃいますし、講演を機にご寄付をされた方から控除の対象になるか聞かれることもあり、そうした際に認定取得によるメリットを感じます。また、これまで実際に遺贈を受けたことはありませんが、遺贈をしたいというご相談を受けたことはあります。

法人からの寄付については、毎年継続してご寄付をいただく企業もいらっしゃいます。損金の枠内で落とせるよう、調整されているようです。

 

また、語学教室事業やスタディツアー、フェアトレードなど、事業も多く展開しており、一部の事業で生じる法人税については、みなし寄付金制度を活用しています。2013年度では44万円の収益をみなし寄付にすることができました。助成金の期間が終了するまでに組織が自立しようと考え、こうした収益事業を設立時から実施しています。今後も様々な事業を立ち上げ、資金獲得を広げていこうと考えています。

 

理念として一人でも多くの子どもを救いたいので、一円でも多く活動資金を増やしたいと思っています。寄付と事業収益の割合を増やしたいですね。特に、寄付金の割合が少ないということは、一般の方に訴えられていない、無関心層のままにしているとも言えます。しっかりと関心層に変えていくこともNGOにとって重要な使命ですので、引き続き活動への理解と協力の呼びかけに力を入れていきたいです。