■「遺贈寄付」~故人の想い、願いを繋ぐお手伝い

 

「遺贈寄付」とは。
ざっくり言うと、
故人が生前に残した遺言書などで、寄付する意志を表明しており、それを遺言執行者が実行した場合、
寄付したぶんの金額は、相続税の課税対象にならない
のです。
 

見ることができなかった、未来のために

 

孤児の支援をしている団体に
毎年、寄付をしていた方がいました。

支援している 子ども からは、毎年のように
感謝のお手紙が支援者のもとに届いていました。
支援者も、手紙の返事を 子ども とやりとりしました。


互いに顔も知らないどうし でしたが、
支援者と 子ども の間には、
いつしか
親子のような関係が出来ていきました。

そんな折、支援者の方が、病気で急逝されました。

支援者の方の遺言書にはこう記されていました

「わたしが亡くなってしまっても
 今まで続けていた○○への寄付を、
 あの子が中学を卒業する3年後までぶん
  ○○万円 を、
 わたしの遺産から寄付しておいてほしい」

 

このように、
「故人の遺志によって行われる寄付」を
【遺贈】
といいます。
 
「演劇の団体に寄付を続けていたけれども、

 彼らの本公演が実現するまで
 支援できなかったために」

  

「ずっと自然公園を支援していたけれども、

 自分が植えた木々が大きく育つ姿を見れなかったために」

など、その寄付の動機には、故人が見ることができなかった、未来の世界への想いを繋ぐストーリーがあります。

▼寄付先が個別に指定されなくても、「寄付の意志」が明確であれば成立

遺言書のなかで、具体的な寄付先が指定されていなくても、「遺贈」は成り立ちます。

 

例えば
「親を亡くした子どもたちの為に、わたしの財産を役立てほしい」
「わたしが愛する ○○島 の自然を守るために、遺産の半分を使ってほしい」
のようなケースでは、具体的な寄付先の決定は「遺言執行者」に委ねられます。

 

遺贈・相続財産寄付は、
専門知識を持つ弁護士や税理士に相談を


遺産の総額や相続人の人数などにより、基礎控除額が変動するなど、

状況にあわせて複雑な計算が必要になります。
トラブルを避けるためにも、弁護士や税理士などの専門家への相談を、
強くお勧めいたします。
 

自らの意志で「繋ぐ」ことができる、それを制度が後押ししている

皆さまに、是非ともこの「遺贈寄付」のことを頭の片隅に置いていただきたいと思います。

 
日本では、寄付の文化はまだまだ盛んであるとは言えませんが、皆さまひとりひとりのご支援によって支えられている、皆さまの善意によって助かっている、そんな多くの方々がいらっしゃるのもまた事実です。

 
支援が途切れてしまわないよう、遺言書によって思いをつなげておく、という方法があります。

現場にいらっしゃる皆さまにも、地域の皆さまにも、知っておいていただきたいのです。

 
また、我々のような認定NPO法人制度をささえる側も、この制度のことを皆さまにきちんとお伝えしていくことが大切であると考えています。