多彩な寄付メニューを開発、寄付は最も有力な社会参加

認定NPO法人ビッグイシュー基金

都道府県 :大阪府
活動分野 :ホームレス支援
財政規模 :約5000万円 (2014年度)
認定/仮認定取得 :2012年07月
団体ホームページ :http://www.bigissue.or.jp/
インタビューご対応:資金調達・会計担当 粟原 奈津子さん

ホームレスの方へ多面的な支援を展開

ビッグイシュー基金は、有限会社ビッグイシュー日本を母体として、2007年に設立されました。基金では、ホームレスの人々に対して、生活自立、就業、文化・スポーツ活動などの支援を総合的に行う再チャレンジ応援事業を実施しています。

 

具体的には、当事者への支援活動などの「ホームレスの自立応援プログラム」、「ホームレス問題解決のネットワークづくりと政策提言」を活動の柱とし、ホームレスの人々が自立し、再び社会に復帰できるようにする、多面的なサポート事業を展開しています。また、それらの活動に並行して、市民の皆さまに社会問題解決への参加を促すもう一つの柱として、ボランティアや寄付プログラムを位置づけています。

 

寄付メニューの開発、広く寄付参加を呼びかける

これまで、「あか抜け応援会員」(2,500円)、「ぐっすり応援会員」(5,000円)、「にっこり応援会員」(15,000円)、「ひとり立ち応援会員」(50,000円)、「巣立ち応援会員」(100,000円)と、5つの市民応援会員のメニューを持っていました。支援内容によって段階が進むため非常に好評なネーミングの会員制度でしたが、認定を取得する際に、これらの市民応援会員を寄付扱いにできないと国税庁から指摘を受けました。市民応援会員には、特典としてバッチやビッグイシュー日本版をお送りしていたためです。

 

そのため認定取得を機に、市民応援会員を2つに縮小し、新たにPSTの寄付として認められる対価性の無い寄付メニューを開発しました。私たちは、社会を変えるのは市民の寄付だと考えています。寄付金控除は税の使い道を自分で決められる制度ですので、市民の皆さまが参加しやすいようにネーミングを工夫しました。

 

今の寄付メニューでは、「出会い寄付」(5,000円)、「つながりウォーク寄付」(10,000円)、「実践応援ラン寄付」(20,000円)、「社会包摂マラソン寄付」(50,000円)、「市民信頼社会寄付」(100,000円)と以前の市民応援会員と同じく、段階的なメニューを提示しています。

 

また、新メニューの開発と同じタイミングでクレジットカード決済も導入し寄付の窓口を増やしたところ、マンスリー寄付が増えました。他にもチャリボン(古本で寄付)を導入するなど、間口を広くして寄付をしやすい環境を作っています。

 

 

認定取得効果を実感、引き続き市民の参加を

認定取得後には以前の市民応援会員から、新しい寄付メニューに移行する方が多く見られました。これは寄付金控除の仕組みをご理解いただいている方が多いということだと思います。また、寄付の間口を広げたことにより少額の寄付が多く増え、2013年度の寄付の口数は合計1591口となりました(前年比174%)。

また、認定取得後は、確定申告を見越した12月の駆け込み寄付が増えています。私たちの事業年度は8月決算のため、毎年11月に年次報告書を会員や支援者に送付するのですが、それが、寄付マインドの高まる12月の寄付につながっているのだと思います。

 

これまで2件の相続財産のご寄付があり、1つは大口のご寄付でした。お一人は、基金の顧問会計士とも相談しながら受け入れましたが、もうお一人は税制等に詳しい方で、領収書をお渡しするだけでした。

 

私たちは、ホームページやソーシャルメディア等、情報公開を積極的に進めています。それは活動の報告を通じて、ホームレスの人々が置かれた状況や、私たちの活動を具体的に知ってもらい、市民の皆さまに参加していただくためです。今後も、会員・寄付参加者やボランティアの皆さまと一緒に活動を展開していきたいと考えています。